私はセーラームーンになれない。

80's産トランスジェンダーの備忘録

「見上げれば終りをみたこともない、目眩を覚えるような空(あお)」


こんにちは、マイノリティです。

誰だよ。

 

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私は前回のエントリでも書いた様に、割と不遇な幼年〜少年期を過ごしました。

 

 

dragibuuuuus.hatenablog.com

 

 


それこそ当時のテレビでは、とんねるず保毛尾田保毛男がお茶の間の爆笑と支持をめちゃくちゃ得ていた時なので、私も当たり前のように

 

保毛尾田保毛男
「オカマ」
美川憲一

 

と、当時メディアに出ていたマイノリティに属する芸能人やそれらを低俗に模したキャラクター、また単純に蔑称などを、すぐそこサンクス♪へ出掛ける気軽さで投げかけられていました(普通に今も保毛尾田保毛男とかいうクソつまらないキャラ許してないから)。

 

私は私に投げかけられるそれ───蔑称やキャラクター───が一体なんであるのか、またどうして私がその様に呼ばれるのか、全くもって分からずにいました。


ただ一つ

 

「私は異常なんだな」

 

という恐怖に似た想いを、幼い私は何も分からないながら強く
強く感じていたのでした。

 

 

 

 

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今でも忘れもしない、体育の授業の終わり。

 

 

 


真っ青で

どこまでも広く

 

 

仰げば空の形は球体なんだ!なんて事が分かりそうなほど、澄み切った、雲ひとつない美しい水色が地平のかなたまで続く晴天の──

 

 

きわめて清々しい、まだひんやりと空気は冷たく冬の匂いを残した
丁度今くらいの、初春の、確か土曜日の出来事でした。

 

 

 

 

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私は小学校から男女が明確に分けられ始めて以降、「体育」と呼ばれる授業を完全に放棄する構えで生きる事を決めました。

 

 


特に私を作った時神は二日酔いだったのかな??

 

 

 

男子の体に女子の心が封印された悲しきモンスターとしてこの世に生を受けた私は、自分を偽って男子と混じって球技やったりなんやかんや激しい競技をやるのがマジで無理っていうか完全に困難をきわめるっていうか不可能だったので、完全に諦めた結果体育の時はとりあえず邪魔にならないよう己の存在をひたすら消す事を最重要課題として取り組むよう、ただひたすら時の過ぎるのを待つ事が基本理念というか、そうしてました。

 

 

 

 

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そんなある日の体育の授業終わり

 

 

 

 

教室へ戻ろうとする生徒らを尻目に、私はその日もいつも通り授業を適当にやり過ごし、終業のベルが鳴る中、その日の、嘘みたいに澄み切った青空の美しさに心を打たれ、授業が終わったにも関わらずその場に留まり馬鹿みたいに空を眺めていました。

 

 

 

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綺麗だなぁ、などと空を呑気に眺め、しばしその美しさに心を打たれ、やがて満足した私は、クラスメート同様教室へ戻ろうと上空から視線を下げました。

 

 

 


その瞬間──

 

 

 

 


息が止まりそうな、なにか重たい衝撃と、不快な色が目の前で爆発しました。

 

 

 

 

 

私の視界は入り交じる灰色と黄色に覆われ、混乱する私の耳に届いたのは数人、と思しき男子の嬌声──

 

 

 

 

 

 

 

驚きと恐怖の中、視界に張り付いたソレを必死で拭うと、それは図工の時間に使った経験が皆さんおありではないでしょうか

 

 

 

私の顔を覆っていたそれは、石油独特の不愉快な香りと、ベタベタした手触りでお馴染みの油性粘土の塊で、その灰色の間から所々はみ出し、千切れた体を不気味にくねらせ体液を放出するそれは無数の黄色い芋虫で、魔術師が強引に錬成しようとして失敗しましたみたいな、正に地獄と呼ぶより他ない物体でした。

 

 

 

 

 

その芋虫は学校の校庭に植えられた木に春頃大量発生する芋虫で、粘土にその虫を混ぜ込んでこしらえた爆弾を、誰だか知りませんが複数の男子がふざけたつもりだったんでしょうね、ボーッと突っ立つ私の顔面目掛けてぶん投げてきたのでした。

 

 

 

 

 

悲しみと恐怖と怒りで混乱したまま、私は1人校庭の水道で泣きながらその灰色と黄色を洗い流した事を今でも忘れません。

 

 

 

 

 

 

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でも
あの日の空は本当に

 

 

 

 


本当に雲ひとつ無く澄み切って、仰げば自分と空の境界さえ曖昧になっていくような

どこまでも美しく広がる、それはそれは本当に

 

 

 

 

本当に泣きそうなくらい美しい青空でした。

 

 

 

 

 

 

私はこの世の矛盾と、世界の美しさと

 

自分がどうしてこんな攻撃を受けるのかという疑問と、何故私は男子なんだろうという謎も、何もかも、何ひとつとして分からないまま

 

 

 

 

 

 

 


ただただ混沌とした気持ちで

 

訳も分からず泣きながら水道で顔を洗い流し続けたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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